入学式で桜を眺め、小さなデザイン事務所があと10年生き残るためには…どうすればいいのか考えた。
ちょっと大きめの制服に身を包み、
口元をキュッと引き締め、硬ばった表情で、
体育館に入場してくる娘を見た。
「今日から…大学卒業までの10年間が始まります…」
校長先生の挨拶を聞いたとき、
唐突に10年という年月を、突きつけられた気がした。
10年…
娘が、泣いて笑って怒って泣いて…
新しいご学友と過ごす青春の日々を、
僕は、保障しなければならない。
雑誌や書籍、紙媒体しか創れない、
新宿に小さな事務所を構える、時代遅れのデザイナーが、
あと10年…稼がなければならない。
中学に入学したばかりの娘のために、
来年は大学受験に臨む息子のために、
ウチの事務所で働いてくれるスタッフのために、
僕は、稼がなければならない。
ひとり…入学式を抜け出し、
満開の桜を眺めて、考えた。
あと10年…紙媒体の仕事をするには、どうすればいいのだろう…
雑誌はずっと存続するだろうか…
書籍は豊富に刊行されるだろうか…
紙媒体の役割は変わらず続くだろうか…
わからない…
わからないから、
いてもたってもいられず、blogを始めてみることにしました。